靴なぁ
靴って大事なんだ、身体的にもファッション的にも。
自分に合っていない靴は、我慢せずに変えたほうが良さそうだ。最近特にそう思う。
久しぶりの大雨の翌日。さあ家を出ようと三和土に近づき、そこで無惨にも水を含んでしっとりと、そこはかとなく物悲しげに寄り添うスニーカーを見つけた。昨日履いていたスニーカーだ。
しまった。キッチンペーパーと新聞紙を突っ込むのをすっかり忘れていた。
試しに足を突っ込んでみたが、とても履けたものではない。スニーカーに閉じ込められた水分子が、からりとした靴下めがけて押し寄せるだろう。晴れの日に、自ら進んで雨の日の不快さを味わう必要はない。
代わりに取り出したのはしばらく履いていなかった、かかとの低いローファー。自分の歩き方が悪いせいで、靴底が斜めにすり減っている。できれば履きたくなかったが、今日履けそうなのはこれくらいだった。仕方ない。
見た目は悪くない。黒いスキニーから流れるように黒いローファー、統一感があって良い、と思った。
だから家を出てしばらくは、比較的ご機嫌だった。
午後、立ち仕事が多くなかなか座って休めない時間が続いた。妙に疲れる。
立っているだけなのに、ふくらはぎに妙な緊張が走っている。これはきっと、今晩むくみ取りのマッサージをしなければならないだろう。
午後が長丁場だった事もあって、帰路は大変な疲れ様。早く帰宅したいので速く歩きたい、なのに水平面に反抗する靴底のせいで、普段の速歩きなどとてもじゃないが出来ない。
おまけに腰まで疲れてきた。いよいよ良くない兆候だ。もうこのローファーは引退のときじゃないか?
どんなにオシャレをしても、靴がちょっとくたびれたスニーカーだと一気に生活感が出てしまらない。逆に、比較的普段着に近いようなラフな格好でも、靴がしっかりしていると、ああそういうコーデなのかあと納得するような気がする。今まで靴に大した意識を向けてこなかったけれど、友人たちを見ているとみんな素敵な靴を履いていたり、男友達に関しても靴に興味やこだわりを持っていて、自分の好きな靴について熱く語ってくれたりする。今までよくわかっていなかったけれど、彼らはとても大切な話をしていたのだなあ。
そんな意識改革も経て、最近は新しい靴を試すようにしている。ちょっと上げ底の靴や、かかとが高い靴、ローファー、華奢なサンダル、ごついスニーカーなど。どれも、普段のスニーカーより一段洗練された装いに見せてくれるような気がするけれど、代償として結構疲れる。普段使いできるほどのおしゃれな靴にはまだ出会えていないのだと思う。
もっといろいろな靴と出会いたいな。