独り言

爪を見せびらかす鷹の話し方

話し方、について考える機会を得た。話し方に関する本を読んでみたことも要因の一つだし、新しい人間関係が広がって、新しい話し方をする人と出会ったのも要因の一つ。

意識したいことは。
相手の話をいったん受け止めて、聞ききってから次の話へ。
自分の話に引き付けるのはうまい話し方とは言えない、場はつなげるかもしれないけれど、自分のことをとにかく話したい人なんだという印象を与える。相手に質問をして、相手からいかに情報を聞き出すか、相手にどれだけ気持ちよくしゃべらせるかが大事かも。

先日聞いた会話だったが、一方が漏らした不平に対し、もう一方は自分の職場に照らして考え、自分の状況にのみ当てはまるつぶやきを漏らし解決策を話した。それでは、初めに発言した側の問題は解決されないし、話を聞いてもらったという感覚も得られないだろう。

とある二人の会話を聞いていてそう思った。

その時思い出した。
そういえば自分も以前、友人と話していて、同じ気持ちになったことがある。
小話を披露しようとして、その枕を話したところ、相手が枕の方に食いついてしまい、オチが弱くなってしまったことがあった。そのときは、私の話を最後まで聞いてほしかったなーと突発的に不満を抱いた。
だけどそれは、自分の行いを自覚する良いきっかけでもあった。多分私は、その相手に対して同じことをしでかしてきたのだ。相手の話に合いの手を入れていたつもりが、やりすぎていたのかもしれないし、相手が持ち出した話題を、自分の身に引き付けて話していたのかもしれない。

初めて「新しいコミュニティ」に入るという経験をした頃は、人と話すのが得意ではなかった。初めて会う人と何を話していいのかわからないし、沈黙が続くととてもきまずい。いたたまれないと思う。だから一人で楽しむ方法を身に付けたし、積極的に人と話すことはしなかった。
しばらくして、否が応でも知らない人と話さなければならない環境に踏み入った時、とにかく話をつなぐという術を見出した。自分の失敗談を笑いを交えて話したり、人から聞いた小話をより面白くなるよう伝えたり。
おかげである程度人と話すことには慣れたけど、この方法は長い間自分が話続けないといけないからなかなかに疲れた。
今から思えば、私は自分の話したいことばかり話していたんだろう。5人いる場で話すなら、残りの4人それぞれに話を振って話してもらえばいいのに、何を一人で頑張って話し続けていたんだか。それでは聞く方も疲れるだろうに。

そういう話し方の問題に気付かされてからは、なるべく相手に語ってもらうような会話を心掛けている。そうすると私の負担は減ったし、相手の話は結構面白い。興味を持って聞ける。
私がするのは相槌と、共感のコメントと、ツッコミと、もっと話してもらうための質問。

他者は自分を映す鏡だ。本当にその通りだ。
相手に気持ちよく話をさせてあげられる人が本当に賢い人だ、という記述を何かで見た。なるほど、と思った。
私もその「賢い人」になりたい。爪隠せるようになりたい。意識的に。能なしの鷹がたまたま爪隠すんじゃなくて。

すぐに自分のフィールドに引きずり込むのは、場は埋まるけど長期的には得策ではないんだろうな。